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実写版『ムーラン』レビュー - IGN JAPAN

実写版『ムーラン』は9月4日、Disney+で配信された。


ディズニーがここ数年で製作したすべてのリメイク版映画と差別化を図った実写『ムーラン』は、満足のいく作品としてそれ自体の存在価値を見せている。原作に忠実すぎて必要がまるでない2019年の『ライオン・キング』や、奇妙なほどに生気がない2017年の『美女と野獣』とは異なり、ニキ・カーロ監督によるアイコニックな中国人女性戦士の物語のリメイクは1998年のオリジナル版の多くの感情的要素を踏襲しながらも、独自の新境地を開いた。その結果、実写『ムーラン』は同名の主人公と共に、視聴者のノスタルジアに頼ることなく、それ自身のありのままの姿で成功している。

1998年のアニメ映画『ムーラン』のファンならば、今回の実写版は原作とは基本的なプロットが同じであることにはすぐに気づくだろう。堅実で迫真の演技を見せる劉亦菲(リウ・イーフェイ)によって演じられる強情なムーランは、馬志(ツィ・マー)演じる病気の父が二度と帰ることの戦争に駆り出されるのを阻止するために、男性と偽って帝国軍に入隊する。

しかし、リメイクはディズニーファンが予想できない方法でオリジナル版から賢く逸脱している。実写『ムーラン』は原作より遥かにアクションと戦闘の振り付けに焦点を当て、ミュージカルナンバーや笑いを誘う仲間たちを省き、悪役の動機を具体的に描写し、ムーランの優れた身体能力の源を中国の「気」の概念に関連付けている。このストーリーでは、気は――「スター・ウォーズ」におけるフォースのように――「宇宙とすべての生き物に充満する」エネルギーであり、その使い手は並外れた反射神経や超人的能力を手に入れるが、通常は男性しか活用できないパワーである。

ムーランは一族の体面を汚さないよう、ずっと自分の力を隠しており、男性を装って初めて真の能力を解き放った。気の概念はこのようにムーランを興味深い心の葛藤に追い込む一方、この神秘的な力は原作において勇気と決意、自然な能力をもって英雄に成長するムーランの必死な努力を切り捨てる結果となった。これは意図せずとも人の心を掴んで離さない弱者の物語をスーパーヒーローのオリジンストーリーのような映画に変えている。致命的な問題ではないが、ディズニーと深い関係を持つマーベルの作品など、ありがちな物語であることは確かだ。

とはいえ、気をスーパーパワーとして取り入れることは、非常に多くのダイナミックなアクションを可能にしている。自信と才能をもって素晴らしいアクションシーンを撮影し、優れた創造力を発揮したカーロ監督は、すぐにでもスーパーヒーロー映画の指揮を執るべきだ。気はさらに新しい悪役の登場を可能にした。鞏俐(コン・リー)演じるシェンニャンは変身能力を持っている、ムーランの力のダークな側面を見せる魔女である。また、ジェイソン・スコット・リー演じるボーリー・カーンはオリジナル版のシャン・ユー(単于)のようなキャラクターで、情け容赦なく――本作で十分に活かされていないジェット・リーによって演じられる――皇帝に復讐しようとする屈強な異民族の首領だ。

リック・ジャッファとアマンダ・シルヴァー、そしてローレン・ハイネックとエリザベス・マーティンによる脚本は、オリジナル版よりも悪役たちを具体的に肉付けようとしているが、その結果は一様ではない。皇帝に対する恨みの理由がより詳しく描写されていても、ボーリー・カーンはシャン・ユーより魅力的なキャラクターにはなっていない。一方、鞏俐は画面に登場するたびに難なく視聴者を惹き付け、映画に不確定性を加味し、終幕に向けて緊張感をもたらしている。

本作はムーシュー(木鬚)をはじめ、オリジナル版にあった喜劇的要素をなくしたことで失ったものは何もない。ほかの兵士から自分の正体を隠そうとするムーランの試みはユーモアに満ち溢れ、彼女と新兵たちの友情も原作と同じように感動的で真実味がある。鈍感なホンフイ(ヨソン・アン)との交流は特にそうだ。同じ立場の人間をムーランの恋愛対象にすることは、原作における上司のリー・シャン(李翔)少尉とのロマンスよりもずっとスマートな選択だ。この設定により、ムーランとホンフイのライバル関係は常に説得力を持って2人を結び付けている。

オリジナル版でムーランの家の守り神を務めた赤竜のムーシューは、中国では中華文化に反するとして物議を醸した賛否両論のキャラクターだった。そのため、実写版ではムーランの先祖がより伝統的なアプローチで描写され、決定的な瞬間に現れる優雅な鳳凰という形となっている。ムーシューよりおしゃべりは少なくなったが、逆境に置かれたときにムーランを奮起させるという役割は大同小異である。しかし、このコンセプトが完全には実現されておらず、先祖(鳳凰)の存在がその登場シーンに感情的な重みを加えていないことは少し残念だ。

不在が目立っているただ1つの原作の要素はミュージカルである。カーロ監督はムーランの成長を表現するために特定のシーンで「リフレクション(原題:Reflection)」のインストゥルメンタル版を巧みに利用し、また「闘志を燃やせ(I’ll Make a Man Out of You)」と「愛しき女(ひと)よ(A Girl Worth Fighting For)」の歌詞をセリフにしている。一方、本質的には戦争ドラマである本作を、不適切なタイミングでキャラクターが急に歌い出すことで壊さないようにするカーロの判断が正しいとしても、オリジナル版の音楽的要素がもう少し活かされても良かったはずだ。

とはいえ、アニメ版の面影は確かに存在している。私たちがすでに20年以上前に愛したストーリーを寸分違わず再現するよりも、今のリメイクのように原作と差別化を図り、大きな変化を見せた方が、ずっと印象深い作品になれる。この点において、実写『ムーラン』は実に新鮮な息吹である。

圧倒的なスケールと壮観なアクション、主演を務める劉亦菲の力強い演技によって、ディズニーの実写『ムーラン』はオリジナルのアニメ映画を驚きに満ち、大半の場合において効果的な手法でアップデートしながら、原作の精神をしっかり継承している。その結果、これまでのディズニーのリメイク版映画の中で最も自信溢れる作品が誕生した。

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